- “総合学習”は,解決すべき主題を明確にした上で,見通しを立てて研究方法を吟味し,体験的に試行錯誤を重ねて問題を解決していく学習であり,探究プロセスそのものに教育的な意義がある。それはまさに研究者が日常的に行っている活動に重なる点が多く,総合学習ないし総合的な学習を指導する教員には,教科書内容を効率的に“教える”能力ではなく,自らの研究活動の経験にもとづいた研究能力が本来求められるはずである。信州大学教育学部は,大学の諸学部の中でも教員の構成上もっとも多岐にわたる専門分野の研究者を有しており,複数の専門的見地を重ね合わせることができ,“総合学習”を実践する上で条件に恵まれている。本書は,信州大学教育学部の研究者有志が,教職科目「総合演習」の授業を担当する教員としてチャレンジしたいわば“総合学習”の実践報告であり,小中高の学校現場における「総合的な学習の時間」をめぐる諸課題に,解決のヒントとなるメッセージを投げかける1冊となっている。
信州発・大学版「総合学習」の展開|伏木久始|信州教育出版社
教育|信大|総合学習
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- 信州発・大学版「総合学習」の展開
はじめに…3
第1章 信州大学教育学部の「総合演習」のアウトライン
1.大学に求められた総合的な学び…8
(1)教育職員免許法の改訂
(2)各大学が悪戦苦闘した総合演習
2.信州大学教育学部の「総合演習」開発プロセス…12
(1)「総合演習」の受講者の実情
(2)「総合演習」の授業者のシフトチェンジ
(3)教員提案型(Aタイプ)と学生提案型(Bタイプ)
3.総合演習コーディネーターが担当した全体講義…19
-学校現場での「総合的な学習の時間」をめぐる課題-
(1)わが国の総合学習の歴史的展開
(2)学習指導要領における「総合的な学習の時間」
(3)総合的な学習の実践状況
4.演習成果の発表と授業評価…23
(1)成果発表会
(2)Bタイプ審査会
(3)受講生による授業評価
第2章 教員提案型の総合演習
1.ロボット劇団にチャレンジ!…30
2.ヒットソングの歌詞を<探る>/<創る>…38
3.古自転車復活再利用プロジェクト…47
4.「経済がわかる/経済でわかる」の成果と課題…53
5.先人のことばに耳を傾ける ―二十歳のころを取材する―…61
6.問題解決能力を向上させる総合学習のあり方の模索…73
7.自然の色合いと柔らかな糸との出会い…84
8.外国籍児童生徒の教育を考えよう…90
9.米づくりと人づくり…96
10.Let's 食育…102
11.楽しい金属実験をして科学技術を学ぼう…106
12.「博物館で学ぶ」の授業実践から…112
第3章 学生提案型の総合演習
1.「音楽で心をつなごう!」の授業を終えて…116
2.しゃべれ場…122
3.手作り絵本に思いを込めて…130
4.未知の地域事情から学ぶ…141
5.目指せ☆鉄筋ダッシュ村!…147
6.メディアで表現 フリーペーパー「tsunagu」…155
7.地域活性化のための映画上映会「ナガノマチスキプロジェクト」…165
おわりに…175
執筆者一覧…177
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