- 人は生まれながらに不平等と言われるが、それが恨みや妬み、復讐心に変わることを著者は「凶霊」と呼んでいる。それらにとり憑かれると、ほとんどの人は悲しみの世界へと引き込まれる。
それは宗教に関しても同じだ。
「あなたの不幸を祓(はら)います」と言いながら、弱った人の心の隙間に入り込むマインドコントロール。信者から金品を巻き上げ権力の上にあぐらをかく。これも凶霊の仕業である。さらに、自分で考えることを放棄してしまった信者たちは、自分の内に答を求めず外へと向かってしまう。これは大脳という巨大なコンピュータを持った人間の真の姿ではない。
主人公のマリアが目指した幼児教育は極めて重要な仕事だ。
戦争を正義と教えられた子どもと、ただ愛に生きることを教えられた子どもとでは、世に放射するものが決定的に違ってくる。破壊か光か。その影響力は計り知れない。
いずれ闇の時代は終わる。次に来る光の世を生きるために、私たちは心の闇を手放す必要がある。そうでなければ自分の生きていく場所すら無くなってしまうに違いない。
私たちの誰もが持っている悪の想念を手放し、犠牲者意識や罪悪感から抜け出し、過去にとらわれず人を審判しない。
そんな生き方を目指している人に読んでもらいたい一冊である。
レビュー作家 風鈴
天国のマリア|天上十印|明窓出版
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