- 電子版特別価格 ¥3,370
尿検査は、現在は尿試験紙法が多用され、医療機関や集団検診の場だけでなく、患者自らも用いることができるようになった。また、非侵襲的に何度でも繰り返し行うことができるので、再現性や臨床経過をみるうえで有用であり、そこから得られる診断情報は計り知れないほど大きい。しかも正しい採尿法や検査の原理・限界を知っていれば、尿検査は腎・尿路系疾患はもとより全身性疾患のスクリーニングや経過観察にこれほど優れたものはない。一方、腎・泌尿器疾患に関わっている医療スタッフにとっては、腎臓(糸球体、尿細管)のもつ働きをどのような方法で測定し、どのように結果を読むかは非常に重要な業務である。腎・心・脳連関に関する新しいバイオマーカーが次々と臨床応用されている。検査部門は中央化がすすみ、尿検査のほとんどを臨床検査技師に委ねるようになったいま、私の先輩で恩師である故伊藤機一先生の「もっと検査室は臨床の実情をよく知り、臨床医は検査室の実情をよく知るべきであろう」のお言葉から本書を企画し、尿検査・腎機能検査に精通している臨床検査技師と腎臓専門医にチームを組んで纏めていただいた。
内容は尿検査(定性試験、定量試験、沈渣)と腎機能に関連のある血液検査と機能検査について、それらの原理と基準値、臨床的意義等について簡明にわかりやすく記述することとし、一般臨床医(かかりつけ医)、臨床研修医、大学院生、専攻生、臨床検査技師はもとより、医学生や臨床検査技師学校学生の諸君にも十分に役に立つものを心掛けたつもりである。 (監修者はじめにより一部抜粋)
臨床病理レビュー 特集 第152号 尿検査・腎機能検査の実際と臨床的意義|臨床病理刊行会|宇宙堂八木書店
- shinanobook.com HOME >
- 臨床病理レビュー 特集 第152号 尿検査・腎機能検査の実際と臨床的意義
第1章 総論
Ⅰ. CKDにおける尿検査・腎機能検査の意義
Ⅱ. AKIにおける新規バイオマーカー
第2章 各論
Ⅰ. 尿検査の実際と臨床的意義
1. 外観観察:尿の肉眼的所見と疾患
2. 尿量
3. 採取法および保存法
4. 定性試験(試験紙法)・定量法
pH/比重/蛋白・微量アルブミン尿:試験紙蛋白/クレアチニン比、蛋白定量/クレアチニン定量比、特殊蛋白(Bence Jones 蛋白、酸可溶性蛋白)、尿細管性蛋白/ブドウ糖/潜血:ヘモグロビン、ミオグロビン/ケトン体/ビリルビン・ウロビリルビン/亜硝酸塩(細菌尿)/白血球エステラーゼ/ポルフィリン体/バニリルマンデル酸/ポドカリキシン定量/食事中摂取蛋白/尿酸:排泄障害か産生亢進かの鑑別/アスコルビン酸/OTC 検査薬/尿試験紙の取り扱い方
5. 尿沈渣検査
採尿法/標本の作製法/染色法/鏡検法/自動有形成分分析装置とその特徴/沈渣成績の記載法/臨床的意義/細胞診/尿中ポドサイト検査
Ⅱ. 腎機能検査の実際と臨床的意義
1.関連血液検査
A. 非蛋白窒素化合物
B. 血清蛋白物質
C. 電解質
2. 腎機能検査
A. 糸球体濾過量
内因性クレアチニンクリアランス(Ccr)/推算糸球体濾過量/イヌリンクリアランス(Cin)
B. 尿細管機能検査
Fishberg濃縮試験/塩化アンモニウム負荷試験
ページ先頭へ