- 「生きられない孤独」から「生きるための孤独」へ
いま、子ども・若者が生きていくためになにが必要か
長きにわたり子どもの犯罪や家族の問題などに対して鋭く分析、指摘をしてきた芹沢俊介と、家庭裁判所調査官として長らく子どもや若者、家族と臨床現場で向き合い考えてきた、現大学教授の須永和宏による二人の往復書簡。
二人が繰り広げる視点は、子どもや家族にまつわる様々な事象(怒り、親殺し、秋葉原事件、不登校、発達障害、自閉症、便所飯、孤独、貧困等)を鋭く分析し、根底にある問題をしっかりと引き出します。
いま、孤独を抱えている子どもや若者が抱えている問題に対して向き合っている方々へ。しっかりと向き合うための一つの答えが、ここにあります。
生きられる孤独|芹沢俊介|須永和宏| 東京シューレ出版
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- 生きられる孤独
はじめに 芹沢俊介
1 ゼロトレランス
須永→芹沢 不良品を出さない考え方/割れた窓を放っておくと/ますます追いやられる子どもたち
芹沢→須永 牧人の姿に感じる思い/「ひとり」より「みんな」という体質
2 バトルロワイヤル状況
芹沢→須永 事件を振り返って/相互に不信感を抱く子どもたち
須永→芹沢 危機に瀕する「親密圏」/「疑似感情統制型」への移行
3 「怒り」の感情
須永→芹沢 存在の全否定/いい子ロボット
芹沢→須永 父親に見る「怒り」の感情/息子に投影された怒り・不満
4 親殺しに先行する子殺し
芹沢→須永 物置小屋が意味するもの/すべては自殺願望のため?
須永→芹沢 「イノセンス」の概念/破壊的権利付与
5 親子のボタンのかけ違い
須永→芹沢 一篇の詩から
芹沢→須永 私に注目してほしい/引くことによって生まれる「わかってもらえない」気持ち
6 秋葉原の事件から
芹沢→須永 信頼の原型/アノミー状態とは
須永→芹沢 羨望による不幸の道連れ/しつけという名の虐待
7 14歳のバスジャック事件から
須永→芹沢 面白ければ良い?親への「困らせ型」犯罪
芹沢→須永 「目立ちたがり屋」の皮肉な運命/ムカつく親を困らせたいだけで
8 教育家族
芹沢→須永 繊細な配慮のない教員たちの行動/家庭における内戦のきな臭さ
須永→芹沢 中三女子による父親刺殺事件から/「いい子」の仮面をはずす子どもたち
9 不登校
須永→芹沢 わが子の不登校経験から/学んだ三つのこと
芹沢→須永 「登校」に対する子どもの葛藤/引き出し屋
10 発達障害
芹沢→須永 アスペルガーの女性に気づかされたこと/学校価値の三つの視点
須永→芹沢 発達障害について/テレビドラマに見た進歩的な発達障害観
11 自閉症の子どもたち
須永→芹沢 東田直樹君との出会い/無条件の愛情があれば……
芹沢→須永 自閉症Nちゃんとの関わりから/井出聡氏の考察
12 「自閉症だったわたしへ」から
芹沢→須永 白色の夢/外の世界との関わり
須永→芹沢 NOBODY NOWHERE/自閉症を三次元的に理解する
13 トイレで食事をする学生
須永→芹沢 筆談で話しはじめたAさん/存在の不安――不寛容な社会
芹沢→須永 個人化の時代ーー恥と不安の根源/「孤独」であることの不安
14 おっぱい/まなざし
芹沢→須永 おっぱいの役割/自分だけのおっぱいを求めて
須永→芹沢 「見られることの不満」から「見られないことの不安」へ/「分かりあえない感」と「本音が言えない」悩み
15 孤独①
須永→芹沢 非行の少年少女の孤独/不登校・ひきこもりの子どもたちと、今どきの大学生の孤独
芹沢→須永 自己領域――戻ってしまう自分だけの場所/個人化という時代精神の主流
16 孤独②
芹沢→須永 生きられる孤独/自己愛とは
須永→芹沢 自分のなかではじまる対立葛藤/孤独――自己肯定感の欠如
17 食と若者たち
須永→芹沢 食べることと気持ちの「在りよう」/佐藤初女さんのおむすび/様変わりする食の風景
芹沢→須永 食事の醍醐味――個性的な他者との出会い/個人化を指向する時代の食事場面
18 子どもの貧困
芹沢→須永 アクシデントへの対応力の欠如/貧困がもたらす悲劇
須永→芹沢 相対的貧困/「豊かさ」とは/不利の連鎖
あとがきに代えて――もうひとつの書簡 須永和宏
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