- 生きものの撮影を行う場合、ピントは必ず「眼」に合わせる。それは一種の“お約束”であり、「眼」にピントが合っていない写真はどこか生気がない。それは「眼」が生きものにとって、とても重要なものであることを意味している。カエルは、私が大好きな被写体のひとつであるが、それはカエルの「眼」に集約されるところが大きい。体のわりに大きく“くりん”とした眼はキラキラして、カエルの最もキュートなところだろう。また、カエルはその色彩や形においても実に魅力的で、存在そのものがアートと思えるような種類も多い。カエルは世界に4000種類ほどが生息するというが、私がファインダーでとらえたものは、その中のほんのひと握りに過ぎない。まだまだ未知なる種類や奇抜で美しいものがいるに違いない。しかし、残念なことにカエルを含む両生類は、世界各地で最も減少が著しい生きもののひとつとされている。水辺環境の悪化は、真っ先にこれら小さな生きものに影響を与えてしまうのだ。このキュートな生きものたちにとって棲みやすい環境がずっと保たれればいいのにな、と思う。
蛙|内山りゅう|ジュリアン