- カメがあらゆる生物と大きく異なるのは甲羅をもっていることである。甲羅のおかげで飛んだり跳ねたりはできず、動きは制約されるが、防御という面では完璧を誇る。自ら攻撃せず、甲羅にこもって防御に徹する姿が平和主義的であり、また、のんびりとした動作から、我々日本人にはカメに悪い印象を持つ人は少ないのではなかろうか。カメは昔から童話“浦島太郎”や幼年唱歌“兎と亀”などに登場してきた。また、カメは、長寿のシンボルとされ、おめでたい生きものとして扱われてきた。カメは、甲羅という身体的な特徴から形態の変化には乏しいが、海に暮らすウミガメや砂漠に暮らすリクガメなど、世界ではおよそ290種類が報告されている。ここで紹介できるのはわずかであるが、カメのもつ独特の表情や甲羅などの美しい色彩にできる限りフォーカシングした。そんな愛すべきカメであるが、世界的に減少が著しい動物のひとつに数えられている。「動きは鈍いが確実に歩み、マイペースで長生き」、そんな生き方を我々もカメに見習いたいものだ。
亀|内山りゅう|ジュリアン